(7月15日 ストレスマネジメント ) 心の体力と自己管理
大谷大学 文学部教授
臨床心理士 佐賀枝 夏文先生
大谷大学の 文学部の教授である佐賀枝先生に、講演していただいた。先生は「こころが目に見えるとしたらどんな形をしていますか?」 と、こころの絵を書き始められた。ゴムの袋に水が入っていて、入り口にゆるやかにひもがかかって入る。
ゴムは「ぶよぶよ」していてやわらかい。何かあると こころの入り口の紐がギュッと縮む。また、やわらかいごむの袋が、ガラスのように固くなる。
時にそれは、ちょっとした力で、バラバラにこわれそうになる。ある時は、入り口の紐が開き、弾力のある心のゴムは、やわらかく、はねるように、弾む。
「こころは変化する。だから、こころは取り扱い方があり、それを知っておくことはとても重要なことだ」と、話された。
佐賀枝先生は こころの取り扱い方説明書を執筆されている。そこからいくつかを引用してみる。
(こころの取り扱い説明書 三畳間文庫より)
こころは、頑張ればいいとか、我慢すればいいとかというものではない。
取り扱い方をまちがえると、意欲をなくしたり、身体の不調を訴えたり、時には、いのちまでなくしてしまうことがある。利用者の支援の質を、たかめるには、それらをとりまく人達のこころが、ガラスのようにかたくなったり、入り口がぎゅっととつまったりする、こころではないことが必要だ。
お互いがこころの取り扱い方を知り、こころの入り口が解き放たれ、ゴムのように、弾むこころで、通い会うことが大切だ。たとえ、一時的にガラスのようになっても、人と人との関係の中で、しだいに、しなやかに、やわらかくなっていく雰囲気や環境が大切だ。
このようなことを、お互いが配慮していくことは、お金をかけなくても、お互いの自覚だけで、利用者の支援の質と職員のやりがい、専門性ををたかめていくことにつながって行くのである。
こころの取り扱いを知ることは、障害のある人たちをささえて行くにあたっての基本技術である。
人のこころを取り扱う我々の仕事は、それが利用者に対しても、家族に対しても、職員間でも、こころの取り扱いを十分知って、配慮し、活用できるレベルにたかめておく必要がある。
佐賀枝先生のこころをみえる状態にして、つまり当事者として巻き込まれる前に、少し離れて眺めてみて、その取り扱い方や配慮の仕方ををみんなで考えていこう、という考え方は随分参考になった。講演していただいた佐賀枝先生に感謝します。