今回は、園内講座のうち、ナイチンゲール看護について、ご講演いただいた内容を報告する。
9月15日 公開講座 「ナイチンゲール看護」
江津湖療育園 看護部長
甲斐一孝 先生
甲斐先生は、昔、第一びわこ学園に在籍されたことがある。びわこが仕事上の原点であることを語っておられた。
「重症心身障害看護がまさしくナイチンゲール看護そのものである」と語られた。
20年前のナースステーションという雑誌は、びわこ学園の実践のレポートがあり、これはまさしく当時から、びわこ学園でナイチンゲールは看護があったということだと語られた。
「食べること」「新鮮な空気」。これらは、細胞が常に入れ替わり新しくなっていることを考えると、とても大切な看護支援のひとつだとおっしゃった。
「看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、睡眠、休息、清潔、排泄、食事などを適切に選択し管理すること、こういったことのすべてを、患者の生命力を消耗を最小にするよう生活過程を整えることである」とナイチンゲールの言葉を引用された。
また、ナイチンゲールは看護にはコミュニケーション技術が重要であると述べているという。利用者が発する表現をどう認知するかで、提供者の表現がきまってくる。
利用者が発する表現をどう認知するかで、提供者の表現がきまってくる。
利用者は、その提供者の表現を感じ取る。また、どう対象の表現を認知するかで、お互いを循環する関係がきまってくるのである。看護師や療育者の認知や想像力や自覚が利用者のよき環境となりうるかを決めていく。ひいては利用者の可能性や生活の質を決めていくのである。
また、ナイチンゲールの3重の関心が参考になるという。
具体から意図をや意味をひきだすこと
具体場面の観察から、その背景にある意味や性質をとりだす。そして理論につなげていく。また理論を再構成していく、その過程がが大切だと話された。学生・看護師教育では、「どんな行為にも、知識と、技と 優しさを、こころがけてほしいとおっしゃった。
最後に、「看護は、もっとその行為の背景にある意図を、看護の価値を平易な言葉で語っていこう」と結ばれた。
先生の語られていた経験を通してのナイチンゲール看護の背景に、日々の支援のエッセンスがちりばめられていた。重症心身障害施設の実践の中に、いかしていきたい視点であった
(講演していただいた甲斐先生に感謝します。)