2011年頭所感 要旨 ともに創り出す年へ
びわこ学園医療福祉センター施設長 口分田政夫
T.年始
新年おめでとうございます。うさぎ年が、スタートしました。
U.時代の要請
まず、年頭にあたって、重症心身障害のおかれた状況について、お話したいと思います。以下のA.B.C3つのキーワードがあります。
A.つなぎ法案の意味するところ
昨年、12月、総合福祉法制定までのつなぎ法案が可決されました。その意味するところは以外に大きなものがあります。
1.移設体系の変更
18歳未満は、医療型障害児施設、18歳以上は、療養介護施設というように、重症心身障害施設という名前は消えて、障害の種別を超えた医療型施設というように制度的には、なってくる可能性があります。また、重症心身障害は、これの施設が持つ、一つの支援機能として位置づけられることになります。
2.50年の蓄積がいかされるか?
これまでの50年の蓄積がいかされる制度であるか、しっかり見守っていく必要があります、日本重症児福祉協会は、この1月、2月に、臨時理事会、施設長会を開いて、対応を協議することになっています。我々も、重症心身障害の療育の意味を発信し続ける必要があります
3.時代に応じた変革
これまでの成果を引き継ぐ制度をめざすことと同時に、我々も新しい時代のニーズに合う変革も求められています。NICUの後の支援や、入所と地域支援の連続した支援です。
B.ケアホーム
1.新たな居住モデル
びわこ学園が新たな重症心身障害の方の居住モデルを実践することになります。大津の松が丘に建設予定です。
2.施設の変革
施設のありかたが大きく変化してきます。
[施設の役割]
重症、医療ニーズの高いタイプの利用、地域のバックアップ機能が重要になるなどと変化してきます。
[中と外の連続性]
施設の中の方も、ケアホームに移行されることが想定されています、中(入所)の人、外(地域)の人という区別が曖昧になります。両者への連続した、支援が求められます。
[利用型 バックアップ]
ケアホームや在宅で、対応が困難になったとき、バックアップする。基地的機能が施設に求められてきます。
C.超重症
1.生きることを支援
[どういった条件で]
超重症の方をみていく、条件、人や、備品の整備、建物構造の変更の検討が求めらてきます。
[どのような理念で]
呼吸器をつけていたり、反応がわずかである方を、どんなふうに、どんな考えかたでみいてくのか、理念が求められます。
[医療、介護、療育、生活支援の統合]
医療の力が、必要になるのは当然ですが、医療、介護、生活支援の統合された生きる可能性への支援が求められます。
V.つくりだす
こういった状況に対して、どのような態度で臨めばいいのか? を考えてみます。それは原点に帰ることです。
A.糸賀思想
びわこ学園の創始者、糸賀一雄は、以下のように語っています。「この子らは、どんなに重い障害をもっていても、だれととりかえることができない個性的な自己実現をしている。その自己実現こそ創造であり、生産である。この子等が自ら輝く素材そのものであるから、いっよいよ磨きをかけて輝かせようというのである。この子らを世の光にである。」生きること、そのものが生産活動としているのです。
B.ケア
1.職員
職員にとって創り出すとは何かを考えてみます。
[吸引、医療ケア、体位変換、おむつ交換、声かけ、活動]
その一つ一つの行為が、重症心身障害の方への支援を創り出しています。
[ケア 医療看護介護 療育、活動 の支援や専門性]
これらの支援の形や、専門性を社会に創り出しています。
[他者実現と同時に自己実現]
これらは利用者の実現、すなわち他者実現を、めざすなかでの、自己実現(支援スキルのアップや満足感)につながっています。
利用者にとっては、こうした支援があるなかで、生きる意欲が引き出され、自分らしい生き方ができることが、つくりだすことすなわち自己実現であり、創造的生産となります。
C.間柄をつくりだす。
我々は、利用者ととともに、間柄、関係性を充実することによって、生きる価値を作り出しているといえます
D.未来に向かって 協同作業と して生きることをつくりだすこと
さらに、未来に向かって、生きる価値や生きる希望をつくりだす、協同作業を続けていくことが大切と思われます。
W.なぜなぜ分析
昨年医療安全の講習会で、なぜなぜ分析という方法があることを知りました。RCA分析の一つの方法論です
A.視点の変更
この分析は、リスクや事故、すなわちマイナスを、根本原因から対策を立案するという、プラスに変えていくおもしろい方法論だと思いました。
B.失敗からつくりだすへ
1.例えば誤薬
[指さし確認や転機ミスが原因としてあがる]
それらは、なぜ、なぜ起こったのか、チームで検討します。個人がしっかりやります、という分析だけでなく、背景のシステムや状況の改善を提案していくのです。
2.新たな年、今年も、うまくいかないこと うまくできること、いろいろあるでしょう。
[危機や失敗をバネに創造への力に変えていく]
危機や失敗こそ、みんなで、なぜなぜとつぶやき、のりこえていくチャンスです。相手のせいだけにせず、自分でできること、協同で乗り越えていくことを分析し提案していくのです。
[多職種の共同作業]
びわこの財産多職種で、なぜなぜと分析して、知恵をだしあいましょう
[危機や問題はあってあたりまえむしろあったほうが、いいくらいです]
それはなぜなぜ分析ができるからです。
3.自分ができることを 出発点に協同作業へ
危機をや不安をプラス(+)の分析へ そして協同作業としての創造へつなげていきましょう。
X.最後に
つくりだすことと、なぜなぜと分析することを通じて、2011年の荒波を協同作業でのりこえていきたいたいと思います。うさぎ年を、ホップ、ステップ、ジャンプの飛躍の年にしたいと思います。以上で、年頭の挨拶としたいと思います、ありがとうございました。